太陽熱・地熱を利用して家計節約&SDGs!設備の設置に便利な「熱と電気の有効利用促進事業」を紹介
近年、地球温暖化や温室効果ガスの排出といった環境問題の解決が、世界的な課題になっています。毎年のように国際フォーラムが開催されており、日本でもSDGsの浸透に向けて様々な事業が展開されるようになりました。
これらの動きを受け、環境に優しい設備を自宅に設置したいと考えている方もいるのではないでしょうか。環境に配慮できる機器はエネルギーを効率的に使えるものが多いため、家庭の光熱費を下げたい方にも人気があります。しかし、設備を設置するには工事費や機器代など、多額の費用がかかるのが難点です。
そこで役立つのが「熱と電気の有効利用促進事業」。熱と電気を無駄なく使える設備を、取得・設置するときに使える助成金制度です。本記事では、熱と電気の有効利用促進事業の対象設備や助成金額の上限などについて詳しく解説します。
「熱と電気の有効利用促進事業」ってどんな制度?全体像を解説します!
「熱と電気の有効利用促進事業」は、東京都が実施している「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」の一環で行われている助成金制度です。熱と電気の有効利用促進事業では、家庭の熱と電気をより有効に利用できる設備を設置する方を助成の対象としています。制度の概要を以下の表にまとめたので、確認してみましょう。
対象者 | ・助成対象設備を所有している人(国・地方公共団体は除く) ・東京都内の住宅に助成対象設備を設置する人 |
利用条件 | 下記の条件をすべて満たすこと ・令和5年4月1日~令和10年3月31の間に設置を完了させる ・助成対象機器から供給される熱・電気は、住居用のエネルギーとして利用する ・対象設備について、都・他の公社の同種の助成金を重複して受けていない ・住宅エネルギーの消費量削減に関する普及啓発を行い、その内容を報告する(対象者のみ) |
予算額 | 469億円 ※令和5年度分 |
申請期間 | 事前申込:令和5年5月29日~ 交付申請兼実績報告: 令和5年6月30日~令和10年3月31日(17時公社必着) |
対象設備 | ・太陽熱利用システム ・地中熱利用システム ・エコキュート等 |
助成対象経費 | ・機材費 ・工事費 |
ただしエコキュート等の助成は、同時に太陽光発電システムも設置するか、既に設置している方が対象です。設備の組み合わせに気を付けながら、「熱と電気の有効利用促進事業」の利用を検討してみましょう。
また、地中熱利用システムのなかには個人宅では助成の対象外になる機材もあります。自宅は助成対象になるか否か、助成対象である機材の種類については、工務店や施工会社などに相談することをおすすめします。
「熱と電気の有効利用促進事業」は設備を新しく設置するときに便利な制度
「熱と電気の有効利用促進事業」は、太陽熱利用システム・地中熱利用システム・エコキュート等を設置する際の費用を助成する制度です。どの設備も一戸建て住宅に備え付ける際は、費用が100万円以上かかることがよくあります。「熱と電気の有効利用促進事業」を活用して、家計への負担を抑えてみましょう。対象設備ごとの利用条件は、以下の表の通りです。
対象設備 | 利用条件 |
---|---|
太陽熱利用システム | ・太陽熱を集熱器に集め、給湯・給湯・空調に利用するシステムである ・液体集熱式または空気集熱式である ・集熱器の性能が、公社の基準を満たしていること |
地中熱利用システム | ・地中の熱を熱源として、給湯・空調・給湯に利用するシステムである ・クローズドループ型で、地中に埋設した地中熱交換器を使用する ・暖房時エネルギー消費効率(定格COP値)が3.7以上である |
エコキュート等 | ・ヒートポンプを利用した給湯器である ・電気ヒートポンプ給湯器またはヒートポンプ・ガス瞬間式併用給湯器である ・太陽光発電の電力を利用し、日中に沸き上げる機能を備えている ・エネルギー消費効率が一定の基準を満たしている |
地中熱利用システムは大きく分けるとクローズドループ型とオープンループ型の2種類があり、熱と電気の有効利用促進事業の助成対象になるのはクローズドループ型のみです。利用条件を満たしている設備の具体的な種類や型番などは、工務店や専門業者が把握している場合がほとんどです。自宅に適した設備がよく分からないときは、工事を依頼する際に「熱と電気の有効利用促進事業」を利用したい旨を担当者に伝えてみてください。
最大補助金額は250万円以上!「熱と電気の有効利用促進事業」の助成金額について
「熱と電気の有効利用促進事業」では、設置する設備によって補助金額の上限や助成率が異なります。以下の表で、各設備の助成金額をチェックしましょう。
対象設備 | 上限額 | 助成率 |
---|---|---|
太陽熱利用システム | 55万円/戸 | 機材費・工事費の2分の1 |
地中熱利用システム | 180万円/戸 | 機材費・工事費の5分の3 |
エコキュート等 | 22万円/戸 | 機材費・工事費の3分の1 |
太陽熱利用システムの機材費・工事費が100万円の場合は50万円、地中熱利用システムの機材費・工事費が500万円なら180万円の助成金が給付されます。すべての対象設備を設置すると、最大257万円の助成金をもらえるのは大きいですね。予算を節約するために、「熱と電気の有効利用促進事業」を有効に活用しましょう!
受付期間に要注意!「熱と電気の有効利用促進事業」の手続きの流れ
「熱と電気の有効利用促進事業」を利用する際は、書類の作成や申請などいくつかの手続きが必要です。前もって大まかな流れを把握し、スムーズに手続きができるよう備えておきましょう。「熱と電気の有効利用促進事業」の手続きの流れは以下の通りです。
- 工事の見積もりを行う
- 熱と電気の有効利用促進事業の事前申込
- 受取通知を受け取る
- 工事の契約・施工
- 熱と電気の有効利用促進事業の交付申請兼実績報告
- クール・ネット東京による審査を実施
- 交付決定兼確定額通知を受け取る
- 助成金の支払い
手続きをする際は、事前申込の受取通知を受け取ってから契約・施工するよう注意しましょう。事前申込は、見積書を提出するだけの簡単なものです(紙申請の場合は「事前申込書」も必要)。施工業者等の担当者と連携しながら少しずつ準備を進めることをおすすめします。
2023年10月20日時点では、「熱と電気の有効利用促進事業」の手続きは紙申請とインターネット上からの電子申請の両方に対応しています。使いやすい方を選んでみてください。
出典:東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)|交付申請兼実績報告の手引き
太陽熱利用システム・地中熱利用システムを設置する場合の必要書類は?
「熱と電気の有効利用促進事業」の事前申込は見積書だけで構いませんが、交付申請兼実績報告ではさまざまな書類を提出しなければなりません。太陽熱利用システムと地中熱利用システムを設置する場合の必要書類は、以下の通りです。
- 申請者本人確認書類
- 助成対象機器の売買等契約書の写し
- 対象機器を購入した際の領収書の写し・領収書内訳の写し
- 製品カタログの写し
- 対象設備の保証書の写し
- 対象設備を設置した建物・対象設備から供給された熱を利用している住宅の全景写真
- 助成対象設備を設置した状態が分かる写真
- 助成対象設備のシステム型番・製造番号を示す写真
- 交付申請兼実績報告書(紙申請のみ提出)
- その他クール・ネット東京が提出を求める書類
紙申請と電子申請では、必要な書類が一部異なります。集められるものは早めに集め、スムーズに交付申請兼実績報告に取り掛かれるようにしておきましょう。
また、法人・リースで「熱と電気の有効利用促進事業」を利用する場合は、上記に加えて実在証明書類の提出が求められます。書類の提出漏れが発生しないよう、業者の担当者と話し合いながら準備を進めることを心掛けてみてください。
出典:クール・ネット東京|東京都 熱と電気の有効利用促進事業 助成金申請の手引きVer.1.5(太陽熱利用システム・地中熱利用システム)
出典:クール・ネット東京|熱と電気の有効利用促進事業助成金交付要綱
エコキュートを設置する場合の必要書類は?
エコキュート等を設置する際に提出する書類の種類は、太陽熱利用システム・地中熱利用システムと若干異なります。エコキュート等を導入するときは以下の書類が必要です。
- 申請者本人確認書類
- リース申込書
- 助成対象設備要件に適合することを証明する書類
- 工事請負契約書または売買契約書の写し
- 領収書・領収書の内訳の写し
- 保証書の写し
- 助成対象住宅の全景写真
- 助成対象設備の型番・製造番号を示す写真
- 太陽電池モジュールを設置した写真
- 太陽電池モジュール・パワーコンディショナの保証書
- 別記第6号様式 助成金交付申請兼実績報告書(紙申請のみ必要)
- その他クール・ネット東京が提出を求める書類
法人やリース事業者は、上記に加えて実在証明書類の提出が求められます。申請方法によって提出書類が一部異なるので、要綱をしっかりとチェックしておきましょう。
出典:クール・ネット東京|熱と電気の有効利用促進事業助成金交付要綱
設備を更新するなら「太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業」を利用しよう
古くなった設備を新しくすることを検討している方は、「太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業」を利用するのがおすすめです。太陽熱利用システムと地中熱利用システムを対象としており、機器費・工事費に対して助成金を給付しています。
利用条件には共通項目と機器ごとに設けられているものがあるので、以下の表で確認してみましょう。
共通項目 | ・令和10年3月31日までに更新する ・設備から供給される熱と電気は、住居用のエネルギーとして使う ・都・公社の他の同種の助成金を重複して受けていない ・公社が求めた場合、住宅のエネルギー消費量削減に関する普及啓発を行い、その内容を報告する(一定の条件を満たした法人のみ) |
太陽熱利用システム | ・太陽熱を集熱器に集め、給湯・空調に利用するシステムである ・液体集熱式もしくは空気集熱式の設備である ・集熱器の性能は、公社が求める基準を満たしている |
地中熱利用システム | ・地中熱を給湯・空調に利用するシステムである ・クローズドループ型で、地中に埋没した地中熱交換器を使用するものである ・暖房時エネルギー消費効率が3.7以上である |
太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業を利用するときは、共通項目を満たしたうえで、設備ごとの条件にも適している製品を選ぶ必要があります。また、地中熱利用システムはクローズドループ型のみを助成対象にしている点にも注意しなければなりません。
どの製品が制度の対象になっているかは、工務店や専門業者が把握しているケースがほとんどです。見積もりを依頼する際に、太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業を利用したい旨を伝えてみましょう。
最大補助金額は35万円以上!「太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業」の助成金額はいくら?
それでは、陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業の助成金額はいくらなのでしょうか?下の表で上限額と助成率をチェックしてみましょう。
上限額 | 助成率 | |
---|---|---|
太陽熱利用システム | 10万円/台 | 機材費・工事費の2分の1 |
地中熱利用システム | 27万5,000円/台 |
太陽熱利用システム1台の更新にかかる機器費・工事費が30万円だった場合、2分の1は15万円ですが、上限額の関係で実際に給付されるのは10万円です。太陽熱利用システムと地中熱利用システムを1台ずつ設置すると、最大37万5,000円の助成金を受け取れますよ。
締切間際で慌てないように|手続きの流れを解説
太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業の手続きは、対象機器の設置を終えてから行います。手続きの流れはとてもシンプルなので、ここでざっくりと把握しておきましょう。
- 業者との見積もり
- 契約の締結・施工
- 対象設備の設置完了
- 助成事業交付申請書を提出
- 審査を実施(現場調査など)
- 交付決定通知書を受け取る
- 助成金の支払い
対象設備の設置と助成事業交付申請書の提出の締め切りは、いずれも令和10年3月31日です。締め切りに間に合うよう、日程を逆算して工事のスケジュールを立ててください。
「太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業」の必要書類をまとめて紹介!
太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業に申請するときは、10種類近くの書類を提出することになります。申し込む人が個人か法人かでも少し違いがあるので、ここで確認しておきましょう!
- 第1号様式「助成金交付申請書(個人・法人用)」
- 本人確認書類(個人のみ)
- 実在証明書類(法人のみ)
- 設置した太陽熱利用システムの写真(カラー)
- 設置した太陽熱利用システムが要件に適していることを証明する書類
- 設置機器の売買等契約書(写し)
- 設置機器の領収書(写し)・領収書の内訳
- 設置機器の保証書(写し)
- 設置機器の設置状態が分かる写真(カラー)
- 設置機器の型番・製造番号(銘板)を示す写真(カラー)
- その他公社が提出を求める書類
書類の提出および申請の方法は、メール申請と紙申請の2種類から選べます。メール申請と紙申請で提出する書類の違いはないので、利用しやすい提出法を使ってみてください。第1号様式「助成金交付申請書(個人・法人用)」は、クール・ネット東京の公式サイトからダウンロードできますよ。
費用をもっと節約したい!「熱と電気の有効利用促進事業」は他の制度と併用できるの?
熱利用システムや地中熱利用システムなどを設置するときに必要な費用は、100万円を超えることもよくあります。家計への負担を減らすため、助成金制度をいくつか組み合わせて利用できたら便利ですよね。「熱と電気の有効利用促進事業」は、他の事業と併用できるのでしょうか?
結論から言うと、東京都とクール・ネット東京が実施している同種の助成金制度は、併用できません。もし興味のある制度がいくつかある場合は、対象設備や上限額などを見比べて申請するものを選んでみましょう。「熱と電気の有効利用促進事業」と類似する制度を以下の比較表にピックアップしたので、参考にしてみてください。
家庭における太陽光発電導入促進事業 | 家庭のゼロエミッション行動推進事業 | 熱と電気の有効利用促進事業 | |
---|---|---|---|
事業内 | 家庭への太陽光発電システムの導入を促進するため、助成金を給付 | エアコン・冷蔵庫・給湯器・照明器具を、省エネ性能の高いものに買い替えた方に、ポイントを付与 | 太陽熱利用システム・地中熱利用システム・エコキュート等の設置にかかる費用へ助成 |
対象経費 | 材料費・機器費・工事費 | - | 機器費・工事費 |
助成対象 | 太陽光発電システム・架台工事・防水工事 | エアコン・冷蔵庫・給湯器・照明器具 | 太陽熱利用システム・地中熱利用システム・エコキュート等 |
上限額 | 10~15万円 ※機器の性能により異なる ※助成額の上乗せあ | 4,000~26,000ポイント ※機器や機器の性能により異なる | 22~180万円 ※機器により異なる |
今ある住宅を環境に優しいものへと整備するため、国や東京都ではさまざまな事業を展開しています。どれを利用するか悩んでいる方は、クール・ネット東京の公式サイトを見たり、工務店等の担当者と話をしたりして納得のいくものを選んでください。
出典:クール・ネット東京|令和5年度 家庭における太陽光発電導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
出典:クール・ネット東京|東京ゼロエミポイント(家庭のゼロエミッション行動推進事業)
「熱と電気の有効利用促進事業」を活用して家計と環境に優しい設備を導入しよう!
「熱と電気の有効利用促進事業」は、太陽熱利用システムの・地中熱利用システム・エコキュート等を導入するときに、最大257万円の助成金を受け取れる制度です。高額になりがちな機器費や工事費の一部を、自治体からの助成金で賄えるのは心強いものです。
機器の更新を考えている方は、太陽熱利用システム補助熱源機器及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業もチェックすることをおすすめします。新しい設備を取り入れて、自宅を快適で環境に優しい家にしてみてください。
出典:クール・ネット東京|令和5年度 熱と電気の有効利用促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
出典:クール・ネット東京|熱と電気の有効利用促進事業実施要綱
出典:東京都環境局|災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
出典:クール・ネット東京|東京都 熱と電気の有効利用促進事業 助成金申請の手引き
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