5月の東京十二木【榧(かや)】
東京十二木の十二樹種
5月 榧:かや
カヤは、日本国内では、岩手県、山形県以南の本州、四国、九州の山野に分布しています。寿命は1000年にも及び、高さ25m、直径2m程度にまで育ちます。成長スピードは極めて遅く、碁盤づくりに適した直径1.1mほどの大きさになるには300年以上の歳月を必要とします。
木質は、油分が豊富でやや重厚、適度な堅さと弾力性があり、特有の芳香があります。光沢のある淡黄色の色あいで、木肌はきめが細かく緻密で、美しい木目があらわれます。また、耐久性・耐水性にも優れるため、贅沢な人はカヤで風呂桶を作ったと言われています。
碁盤・将棋盤はもちろん、まな板も最高級品として珍重されています。榧のまな板はあまり有名ではないかもしれませんが、じつは、ちょうどよい堅さと柔らかな弾力性をもち、刃当たりがとてもよく、包丁が傷つきにくい、また、水に強く水切れがよく乾きが早い、天然の抗菌性があるなど、まな板には最適な素材と言えます。
昔は建築材や船舶、風呂桶など幅広く使われていましたが、現在は榧材が枯渇し、そのような用途で用いられることはなくなりました。
明治以降、囲碁・将棋の普及とともに本榧盤の需要が急増し、榧の木の伐採が進み、激減しました。樹齢の若い小径木までもが伐採され、ごく一部の産地を除いて植林もされなかったため、榧が木材市場に入荷することほとんどなくなってしまいました。
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