ウッドショック・ロシア問題の影響で輸入木材が危機? 今だからこそ採用したい国産材の魅力とは

ウッドショック・ロシア問題の影響で輸入木材が危機? 今だからこそ採用したい国産材の魅力とは

2021年から建設業界を悩ませている「ウッドショック」。コロナ禍による北米材の需要逼迫に端を発した輸入木材の価格高騰は未だ収束の兆しを見せず、またロシアのウクライナ侵攻によって木材輸入がストップするなど、価格高騰にさらなる追い打ちをかけている状況が続いています。値上げに追い込まれた建材、設備メーカーも多く、住宅価格にも影響が出ているようです。

そんな中で改めて評価され始めているのが、国産の木材。かつては価格の安さから外国産の木材が多くの住宅で利用されてきましたが、輸入木材の価格高騰が続く今、外材から国産材に切り替える住宅メーカーも増えてきています。今回はウッドショックのこれまでと現在の状況を踏まえながら、改めて評価される国産材の魅力について解説します。

いま注目を集める国産の木材

建築において木材は切っても切れない大切な材料の一つです。 柱や梁と言った重要な構造部分、そして仕上材としても様々な箇所に利用されています。住まいを探す方の木造住宅への関心は非常に高く、内装材としても常に注目を集めています。ヒノキの香りは鎮静作用と強壮作用があり、気持ちが落ち着き、癒やし効果があることでも有名です。フローリング材としても天然木材は人気があり、温かみのある柔らかいイメージが魅力的な材料です。

このように住宅の主な部分を占める木材ですが、大きく分類すると国産材と外国産材になります。日本の気候風土を考えた時、国産材は最も適合した材料ですが、一方で日本の建築物には多くの輸入木材が使用されてきました。その背景には昭和39年(1964年)の木材輸入の自由化があり、外国産木材が安価で大量に入手できるようになったという背景があります。経済成長に伴う都市部の人口増加を支えるため、より安く、より多くの住宅を供給する必要があり、そのためにコスト面で優れていた輸入木材が多くの木造住宅で使われてきました。

ところが最近、国産の木材が再び強い注目を集めています。新型コロナウィルスの影響や、ロシアのウクライナ侵攻といった社会情勢から生じた世界的な需給逼迫と、それに伴う木材価格の高騰。いわゆる「ウッドショック」によって、国内の住宅業界でも工期の遅れや、コストアップなどが問題となっていることが要因の一つです。中には、住宅販売価格を坪当たり計5万円値上げしたメーカーもあり、2022年4月以降も多くの建材・設備メーカーが値上げを表明しているため、住宅価格においてもさらなる値上げが懸念されます。

もちろん、マイホームパートナーのように国産材を主に使う住宅メーカーも存在するため、すべての住宅メーカーが大幅な値上げに踏み切っているというわけではありません。一方で、ローコストを売りとする住宅メーカーや建売住宅のメーカーは安い輸入材に頼る傾向にあり、そのような企業では外国産材から国産材への転換を迫られるなど、影響が大きくなっています。

新型コロナに端を発したウッドショック

木材の需給が逼迫して価格が高騰するウッドショックは、新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの浸透と住宅ローンの歴史的低金利を背景に、アメリカでの住宅着工戸数が急増したことが発端と言われています。北米材の供給が世界的に滞り、中国の経済回復などに伴う木材需要増やコンテナ不足といった国外の事情もあいまって、2021年から日本向けの輸入材と原木の供給量が大きく減り、価格上昇をもたらしました。

農林水産省の統計調査によると、木材価格は2021年の春から夏にかけて、輸入材を中心に2倍近くまで上昇。例えば2021年3月に6.67万円だったスギ乾燥材価格は、同年8月には13.06万円まで急上昇。2022年2月まで、7カ月連続で13万円を上回っている状況が続いています。

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アメリカではコロナ禍以前の2019年に月間5万戸〜8万戸だった戸建住宅着工戸数が、2020年秋には10万戸を突破。2021年に入っても高水準を維持するなど、長期間の自宅待機要請に伴って住宅の改修や新築の需要が拡大しました。

そして日本国内でも、外出自粛やリモートワークの導入で在宅時間が増えたことを機に生活スタイルが変化。巣ごもり需要が拡大し、マイホーム事情にも影響を与えています。リクルートが行った調査では、コロナ禍により住宅に求める条件の変化として、「部屋数が欲しくなった」(24%)「遮音性に優れた住宅に住みたくなった」(21%)「仕事専用スペースがほしくなった」(18%)「省エネ性、冷暖房効率に優れた住宅に住みたくなった」(17%)といった回答がみれらました。このような回答からも、より良いおうち時間を過ごせる家に住みたいというニーズが高まっており、それらが住宅の改修や新築の需要に繋がっているのではないかと推測できます。

国土交通省によると、2022年3月の新設住宅着工戸数は前年同月比で6%増、13か月連続の増加となっており、コロナ禍を機に自分の生活や働き方を見直す人が増えていることなどを考えると、生活スタイルの変化は一過性のものではなく、新たな生活様式として受け入れられてきているのではないでしょうか。

出典:リクルート「住宅購入・建築検討者調査(2021) 」※2021年7月~12月下旬検討者に対する調査
出典:国土交通省 建築着工 統計調査報告 令和4年3月分

ロシアのウクライナ侵攻で

さらに木材が貴重に

コロナ禍に端を発したウッドショックですが、2022年に入ってからはロシアによるウクライナ侵攻が追い討ちとなり、さらなる悪影響が出てきています。ロシア政府は3月10日には日本を含む非友好国に対して、一部の木材や木材製品の輸出も停止すると発表。チップ状の木材や粗木材、化粧張り用単板や合板用単板などが対象となっており、これらの木材を使っているハウスメーカーは対応に追われています。

林野庁がまとめた2021年の木材輸入実績によると、ロシア産製材の輸入量に占めるシェアは18%。特にロシア産の単板は金額換算で85億円。単板における輸入の82%を占めています。樹種は主にカラマツ。合板の表板や裏板、LVL(単板積層材)などに使用されており、ロシアから単板を輸入していたメーカーや資材を使用している企業では、大きな影響が出ているようです。

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また森林認証の一時停止が、さらなる影響を及ぼす可能性もあります。森林認証は生産者や製材メーカー、中間流通業者が適切に木を取り扱っていることを認証する仕組みで、これによってハウスメーカーは安心して木材を購入、使用することが可能となります。ところがロシア産とベラルーシ産の木材に対しては「紛争のための木材である」ことを理由に、2022年3月より国際的な認証がストップしています。認証材をすぐに別の認証材に代替するのは難しいとみられ、ロシア産の輸入木材を使用しているハウスメーカーは代替品の検討を迫られることになります。

面積ベースで世界の約2割の森林を有するロシアに対してこれだけ輸出規制が重なれば、世界的に木材流通量が減ることは避けられません。EUがベラルーシからの木材輸入を制限したことなどによって欧州でも木材需給が逼迫する恐れがあり、ロシア産ではない木材でも供給が滞る可能性があります。2021年におけるEUからの針葉樹製材輸入のうち多くを占めるフィンランドやスウェーデンにおいても国際的な緊張感が高まっており、輸入木材をめぐる状況はしばらく先の見通せない状況が続きそうです。

出典:木材貿易の現状 - 令和4年4月 林野庁木材貿易対策室

国産材への切り替えはそう簡単ではない

木材が品不足になり価格が高騰するウッドショックへの対策として、輸入材に依存してきた木造住宅の各部材を国産材に変更しようという動きも活発になってきています。日本政府が2022年4月に決定した緊急経済対策では、住宅の省エネルギー対策や、輸入木材から国産材への転換を支援する方針が示されました。しかしながら、国産材への切り替えは、そう簡単にできるものではありません。

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外国産の木材は平坦な土地で育っていることが多く、真っ直ぐで加工がしやすいため製材業者、加工業者にとって利用しやすいというメリットがありました。一方、日本の木材は急峻な山で育つため木に曲がりなどの癖があり、加工に技術を必要とします。

また外国産材はサイズが大きく、そのために1本の木から何本もの柱材を取ることができます。このような木材は乾燥していく過程でひび割れや反りが生じづらいため、製材業者にとってはありがたい存在です。一方国産材は、1本の木から1本の柱を採れるように育てています。このような木材の場合、木の中心部分と外周部分の乾燥比率が違うため、乾燥していく過程でひび割れや反りが発生しやすく、加工に高い技術が求められます。

多くのハウスメーカー、大工、職人がそういった手間やクレームを嫌った結果、外国産材を使った家造りが広く行われてきたことも、外国産材への依存を加速させた原因のひとつと言えるのではないかと思います。

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また、耐震性を担保するために複雑な構造計算が要求されるという点も、国産材を取り扱う難しさのひとつです。例えば国産材のマツやヒノキは、輸入材のベイマツやレッドウッドよりもたわみ性能を示す「曲げヤング係数」という指標の部材強度が低いため、梁と梁の間隔を調整したり、梁自体の高さや幅を調整したりすることで充分な強度を確保しています。国産材への転換を行うためには、複雑な構造計算をしたうえで、その強度に応じた様々な仕様変更を施す必要があるのです。

もちろん注文住宅はひとつとして同じ家ではないですから、ご要望の間取りや広さに応じて毎回、複雑な構造計算をする必要があります。裏を返せば国産材でもしっかり計算をすれば充分な強度、耐震性を担保できる訳ですが、その取り扱いの難しさやそもそも価格の安さから、これまでは国産材が敬遠されることが多くありました。

しかしウッドショックを契機に、梁の架け方を工夫すれば国産材でも必要な強度を確保できることが認知され始め、採用する住宅会社も徐々に増えているようです。ハウスメーカー・工務店にとっては難しい対応を迫られ頭の痛い話ではありますが、日本の木材は日本の風土に最も適しており、シロアリやカビ等を遠ざける性質を持っているといわれていますので、住む人にとってはメリットもありますし、長期的な視点で見れば住宅の劣化を抑えられる可能性もあります。

出典:国産材転換支援緊急対策事業 - 林野庁木材産業課

国産材に精通した

住宅メーカーを選びましょう

ウッドショックを契機に需要が高まる国産材ですが、国産材の生産能力をすぐに引き上げられる訳ではありません。2020年は新型コロナウイルスによる景気低迷で国産材需要が落ち込み、森林組合などの素材生産事業者は減産を余儀なくされました。2021年以降は一転して「すぐに木が欲しい」という状況が訪れましたが、林業は高齢化や担い手不足などの課題を抱えており、すぐに伐採量を増やそうとしても人の手が足りません。

ウッドショック・ロシア問題の影響で輸入木材が危機? 今だからこそ採用したい国産材の魅力とは

また製材会社も同様の課題を抱えており、新規の注文が殺到したとしても生産能力には限界があります。先の見通せない社会情勢の中、新しく投資をして機械を増やすことにもリスクがありますので、需要が増えたからといって供給量がすぐには増えてこないのです。新しく国産材に切り替えたハウスメーカーにとっては木材の調達が滞ったり、割高な価格で購入せざるを得ない状況となり、結果的に納期の遅れや、施主の負担増も心配されます。

そのようなトラブルを避けるためにも、現在マイホームのご検討中の方には国産材の取り扱い実績の豊富なハウスメーカーに、新築の相談をすることをおすすめします。マイホームパートナーでは20年にわたり、地元東京で育った多摩産材を住宅の構造材として使用し、多数の施工実績があります。製材所も地元の沖倉製材所から直接仕入れを行っており、その確かな加工技術によって多くのお客様からご好評をいただいております。これも長年にわたって国産材を採用し、そのお付き合いの中で確かな木材を安定的にご提供いただけている賜物です。

日本の住宅に最適な国産材の魅力

国土の7割近くが森林の日本は、古くから木や森と密接な関係のもとで生活が営まれており、古くは3万年以上も昔から住宅の材料として木が活用されていたといわれています。国宝と呼ばれるような歴史的な建築物は100%日本の木材、そのほとんどが地場で産出された木材が使用され、何百年もの風雪を耐え抜いています。日本で木材を建築材料として利用する場合は、その風土や気候に適した日本の木材を使うことが最も好ましいのです。

快適な住み心地は『安全な材料』と『適切な設計・施工管理』から

特に構造材として使う場合は長期間の健全保持が大切なポイントとなります。カビやシロアリなどの害虫は建物に重大な被害を及ぼす可能性がありますが、日本の木はそれらに対する独自の耐性を持ち、その防腐、防虫成分で身を守っています。日本独自の気象条件で育った国産木材だからこそ、長期的に見て安心で、住みやすい家を作ることができるのです。

外国産材は素材自体の強度は強い傾向にありますが、四季があり高温多湿な日本の環境に合わず変形してしまう可能性が高く、性能表示システムの耐久性、劣化の等級はスギよりも低くなります。また輸入木材は長時間の輸送に耐えるために防虫剤や防腐剤が塗布されており、シックハウス症候群の原因にもなります。住み始めてすぐは特に異常を感じなくても徐々に健康に影響が出る可能性がありますので、そのような観点からもマイホームパートナーでは国産の無垢材の使用をおすすめしています。

日野市 アジアンリゾートのような雰囲気の中で、爽やかで明るい子育てを

また地元の木材を使うことは輸送エネルギーの節約にもなるため、脱炭素につながり、自然環境にも良い影響をもたらします。日本国内には伐採時期を迎えた樹木がまだまだ沢山あります。これらの樹齢に達した木を有効に活用し、CO2の吸収率が高い苗木を植えて森林を再生していくことは、地球温暖化防止にも繋がります。

森林は水害の防止を含めた保水や気候の安定、生態系の維持などの役割だけでなく、観光客や地域に住んでいる人にとっても心地よい空間を提供してくれます。外国産材に頼った家づくりから地域に貢献した家づくりへの変化は、私たちの生活に豊かさをもたらしてくれるのかもしれません。

多摩産材の家ならマイホームパートナー

多摩産材の家

マイホームパートナーでは毎週、『まいにち相談室』を受付中です。
平日の10:00〜16:00(水曜日を除く)にて、新築、建て替えに関する様々なご相談をして頂けます。

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